役員貸付金の認定利息について、みんな知らなさすぎる件

こんにちは、税理士の岩本隆一です。
最近、経営者の方と話していて「え、そんなこと知らなかったの?」と言われることがめちゃくちゃ多いんですよね。
その中で「やばい、知らなかった…」ってなるものの一つが、役員貸付金の認定利息の話です。
まず、役員貸付金って何?
そもそも役員貸付金って何かというと、要するに「会社が社長(役員)にお金を貸している状態」のことです。
よくあるパターンとしては:
- 会社のお金で個人的な買い物をしちゃった
- 一時的に個人の支払いを会社で立て替えた
- 決算調整で「とりあえず役員貸付金にしておこう」
みたいな感じで発生します。
で、これが実は結構やばいんです。
なんでやばいの?
理由は簡単で、税務署が「それ、実質的に給与でしょ?」って言ってくるからです。
普通に考えて、銀行からお金を借りたら利息を払いますよね?それと同じで、会社からお金を借りたら利息を払わないといけないんです。
でも多くの経営者が「自分の会社だから利息なんていらないでしょ」って思ってる。これが大きな間違い。
認定利息のルール
国税庁が「役員貸付金の利息はこの利率以上にしなさい」って決めてるんです。
令和6年分は年0.9%です。
これより低い利息(無利息含む)で貸し付けると、差額分が「給与」として課税されちゃいます。
具体例で説明すると
例えば、1000万円を無利息で1年間貸し付けた場合:
- 本来払うべき利息:1000万円 × 0.9% = 9万円
- 実際の利息:0円
- 差額:9万円
この9万円が「給与」として課税されます。
会社側:
- 9万円の収益計上(でも役員賞与として損金不算入)
- 結果的に法人税が増える
役員側:
- 9万円が給与所得として所得税・住民税の対象
- 源泉徴収漏れのペナルティも
「そんなの知らなかった」では済まない
税務調査で指摘されると、過去に遡って課税されます。しかも過少申告加算税というペナルティ付き。
さらに、銀行からの評価も下がります。「この会社、資金管理がずさんだな」って思われちゃう。
じゃあどうすればいいの?
1. とりあえず適正利率を設定
年0.9%以上の利息を設定して、金銭消費貸借契約書を作成しましょう。
2. 早めに返済
役員貸付金は「ない」のが一番です。可能な限り早く返済しましょう。
3. 代替手段を考える
- 役員報酬を増額して税引き後で返済
- 退職金制度の活用
- 生命保険の活用
例外もある
以下の場合は無利息でもOK:
- 災害・病気等の緊急時:合理的な金額・期間での貸付
- 合理的な利率設定:会社の平均調達金利等を適用
- 少額:年間の利息差額が5000円以下
まとめ
役員貸付金の認定利息、みんな知らなさすぎです。
特にスタートアップの経営者は、会計や税務に詳しくない人が多いので、気づいたら「やばい状況」になってることがある。
「知らなかった」で済むレベルのペナルティじゃないので、今のうちに対策しておきましょう。
顧問税理士に相談するか、最低限のルールだけでも覚えておいてください。
それでは!