給与計算って実際どうやるの?よくある質問にまとめて回答します

給与計算のやり方について、お客さんからの質問が多いので答えました
こんにちは、岩本隆一です。
最近、お客さんから「給与計算ってどうやってやるんですか?」という質問を本当によく受けるんです。確かに、給与計算って複雑で分かりにくいですよね。
今日は、そんな疑問にお答えするために、給与計算の基本的な方法について解説していきたいと思います。
なぜ給与計算が複雑なのか
給与計算が複雑な理由は、単純に基本給から税金を引けばいいというものではないからです。
実際には、以下のようなものを考慮する必要があります:
控除されるもの
- 所得税
- 住民税
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料(※役員は対象外)
- 介護保険料(40歳以上のみ)
- 労災保険料(会社負担)
加算されるもの
- 基本給
- 各種手当(通勤手当、家族手当など)
- 残業代
- 賞与(ボーナス)
これらを正確に計算するには、かなりの知識と経験が必要になります。
社会保険料の計算方法と注意点
まず、社会保険料について説明します。
健康保険料や厚生年金保険料の料率は、実は都道府県によって微妙に違います。正確な料率を知りたい場合は、協会けんぽのサイトを確認してください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150
ここで最新の料率を確認できます。料率は毎年見直されるので、古い情報に頼らず、必ず最新の情報をチェックしましょう。
重要な注意点:
- 役員の場合は雇用保険の対象外です。代表取締役や取締役は雇用保険に加入できません
- 介護保険料は40歳以上の方のみが対象です。40歳未満の方は健康保険料のみとなります
実際の給与計算の手順
1. 総支給額の計算
基本給に各種手当を加えて、総支給額を算出します。
2. 社会保険料の計算
標準報酬月額表を使って、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料を計算します。
3. 所得税の計算
源泉徴収税額表を使って、扶養親族等の数に応じた所得税を計算します。
4. 住民税の計算
前年の所得に基づいて計算された住民税額を控除します。住民税は毎年5月頃に市区町村から「特別徴収税額通知書」が送られてきますので、その通知書に記載された金額を見て控除します。
5. 手取り額の算出
総支給額から各種控除額を差し引いて、最終的な手取り額を算出します。
便利な計算ツールの活用
正直なところ、これらの計算を毎回手作業でやるのは現実的ではありません。
そこで、私がお客さんにもよくおすすめしているのが、こちらの無料計算サイトです。
https://e-kyu.com/muryou/tedori.html
(利用は自己責任でお願いします)
このサイトに必要な情報を入力するだけで、手取り額を簡単に計算してくれます。年収や扶養家族の人数、住んでいる地域などを入力すれば、かなり正確な手取り額が分かります。
よくある質問とその回答
Q: ボーナス時の計算は違うのですか?
A: はい、ボーナス(賞与)の場合は、月給とは大きく計算方法が異なります。
賞与の社会保険料計算:
- 賞与額に対して各保険料率を直接かけて計算
- 標準報酬月額表は使わず、賞与額そのものを使用
賞与の所得税計算:
- 前月の社会保険料等控除後の金額に応じた特別な税率表を使用
- 月給の源泉徴収税額表とは全く別の計算になります
このため、「ボーナス100万円」といっても、手取りは思ったより少なくなることが多いので注意が必要です。
Q: 副業の収入がある場合はどうなりますか?
A: 副業の年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。この場合の税金計算も、先ほどのサイトで概算を出すことができます。
Q: 扶養家族がいる場合の計算は?
A: 扶養家族の人数によって所得税の計算が変わります。扶養控除により税負担が軽減されるため、正確な人数を把握しておくことが重要です。
給与計算で注意すべきポイント
料率の変更に注意
社会保険料率は毎年見直されます。特に4月と10月は要注意です。
役員と一般従業員の違い
- 役員は雇用保険の対象外のため、給与計算時に雇用保険料を控除してはいけません
- 労災保険も役員は原則対象外です(特別加入制度はありますが)
住民税の特別徴収通知
- 毎年5月頃に住民税の通知が市区町村から届きます
- この「特別徴収税額通知書」に記載された金額を6月から翌年5月まで12回に分けて控除
- 新入社員の場合、入社年度は住民税がないか、普通徴収になることが多いです
年齢による保険料の違い
- 40歳になると介護保険料が追加されます
- 40歳の誕生月から介護保険料の控除が始まります
法改正への対応
税制改正や社会保険制度の変更により、計算方法が変わることがあります。常に最新の情報をキャッチアップしておきましょう。
個別のケースへの対応
従業員ごとに状況が違うため、画一的な処理ではなく、個別のケースに応じた対応が必要です。
給与計算システムの導入も検討を
小規模な会社でも、従業員が増えてくると手計算では限界があります。
給与計算システムを導入することで、計算ミスを防ぎ、作業効率を大幅に改善できます。初期コストはかかりますが、長期的に見れば十分に元は取れると思います。
まとめ
給与計算は確かに複雑ですが、基本的な仕組みを理解し、適切なツールを使えば、そこまで難しいものではありません。
重要なのは:
- 最新の料率や税率を常に確認すること
- 計算ツールを有効活用すること
- 分からないことは専門家に相談すること
お客さんからよく「自分でやるべきか、外部に委託すべきか」という相談も受けますが、これは会社の規模や人的リソースによって判断すべきだと思います。
ただし、どちらを選択するにしても、経営者として給与計算の基本的な仕組みは理解しておいた方がいいでしょう。
今回の解説が、給与計算でお困りの方の参考になれば幸いです。
ご質問があれば、いつでもお気軽にお声かけください。