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役員報酬を大きく払った方が全体的にお得になる? シミュレーターを公開

ryuichiiwamoto0907@gmail.com

こんにちは、税理士の岩本隆一です。

日頃のお仕事で、経営者の方から「役員報酬って結局いくら払うのがお得なの?」というご質問をよくいただきます。法人税と所得税の関係で、実は直感と違う結果になることが多く、多くの経営者の方が悩まれているんですよね。

そんな疑問を解決するために、今回は役員報酬のシミュレーターを作ってみました。これを使えば、あなたの会社の状況に応じて、最適な役員報酬額を簡単に計算できます。

なぜ役員報酬の計算は複雑なのか

まず、なぜこんなに複雑なのかを説明しますね。

法人が利益を得た場合、その利益には法人税がかかります。一方で、役員報酬として支払った分は、法人の経費として扱われるため法人税の対象から除外されます。でも今度は、役員個人に所得税と住民税がかかってくるんです。

つまり:

  • 法人に残す場合: 法人税(約30%前後)がかかるけど、個人の所得税はかからない
  • 役員報酬で支払う場合: 法人税はかからないけど、個人の所得税・住民税(累進課税で最大55%)がかかる

この2つのバランスを考えると、「じゃあ結局どっちがお得なの?」という話になるわけです。

実際にシミュレーションしてみよう

ここで登場するのが、今回作ったシミュレーターです。

シミュレーターはこちら

※Googleアカウントでのログインが必要ですが、ログイン情報が私に漏れることはありません。Googleの標準的なログイン機能を使用しているため、セキュリティ面でも安心してご利用いただけます。

使い方は簡単で、以下の項目を入力するだけです:

  • 会社の年間利益
  • 現在の役員報酬額
  • 法人税率
  • 個人の所得税率

すると、「役員報酬を増やした場合」と「法人に利益を残した場合」の税負担の違いが一目でわかります。

意外な結果が出ることも

実際に使ってみると、直感と違う結果が出ることがあります。

例えば、年間利益が1000万円の会社で、現在の役員報酬が300万円だとします。「役員報酬を500万円に上げたら税負担が増えるんじゃないか」と思いがちですが、実際に計算してみると、トータルの税負担が減る場合があるんです。

これは、法人税率と個人の所得税率の関係によるもので、特に所得税率がまだそれほど高くない段階では、役員報酬を増やした方が有利になることが多いです。

なぜこのシミュレーターを作ったのか

税理士として多くの経営者の方とお話しする中で、「役員報酬の最適額を知りたいけど、毎回計算を依頼するのは申し訳ない」「概算でもいいから、自分で簡単にシミュレーションできるツールがあればいいのに」というお声をよくいただいていました。

確かに、税務の専門知識がなくても、パッと数字を入れるだけで概算がわかるツールがあれば便利ですよね。そこで、経営者の方がご自身で検討材料として使えるシミュレーターを作成しました。もちろん、最終的な判断は専門家にご相談いただくことをおすすめしますが、事前の検討には十分お役立ていただけると思います。

注意点も忘れずに

ただし、このシミュレーターはあくまで概算です。実際の税務では、以下のような要素も考慮する必要があります:

  • その他の控除や特例
  • 将来的な税制改正の可能性

また、役員報酬は基本的に期の途中で変更できないため、年度開始前にしっかりと計画を立てることが重要です。

まとめ

役員報酬の最適化は、税務の専門知識が必要な複雑な分野ですが、経営者の方にとってはとても重要な検討事項です。今回のシミュレーターが、皆様の事前検討の材料として少しでもお役に立てば嬉しく思います。

ただし、実際の税務判断につきましては、個別の事情を総合的に考慮する必要がありますので、ぜひ税理士などの専門家にご相談ください。

使ってみてご不明な点やご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。皆様の効率的な税務プランニングのお手伝いができれば幸いです。

ABOUT ME
税理士 岩本隆一
税理士 岩本隆一
登録番号140245 東京地方税理士会 横浜中央支部
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