横浜のカフェで考えた「民事信託」の話 – 家族の未来を守る新しい仕組み

こんにちは、税理士の岩本隆一です。
最近、横浜の赤レンガ倉庫近くのカフェでコーヒーを飲みながら、ふと「家族の財産管理ってどうするのがベストなんだろう」という話になりました。友人のAさん(仮名)が「うちの親、認知症が進んできて、不動産の管理とかどうしようか悩んでる」という相談をしてきたんです。
そんな時に出てきたのが「民事信託」という制度。正直、僕も最初は「信託?投資信託のこと?」レベルだったんですが、調べてみるとこれ、めちゃくちゃ使える仕組みでした。
民事信託って何?超簡単に説明すると
民事信託を一言で説明すると「家族間でお金や不動産の管理を任せる仕組み」です。
具体的には:
- 委託者:財産を持ってる人(お父さんとか)
- 受託者:財産を管理する人(息子とか)
- 受益者:その財産から利益を受ける人(最初は委託者本人)
という3つの役割があります。
横浜でいうと、みなとみらいのマンションを持ってるお父さんが、息子に「このマンション、管理よろしく」って託す感じです。でも所有権は息子に移るけど、家賃収入はお父さんが受け取れる。そんなイメージ。
なぜ今、民事信託が注目されてるの?
理由は主に3つあります。
1. 超高齢化社会の現実
日本の高齢化率は29.1%(2023年時点)。横浜市も例外じゃなくて、特に港北ニュータウンなんかは第一世代が一気に高齢化してます。認知症になったら銀行口座が凍結される可能性があるし、不動産の売却もできなくなる。これ、けっこう深刻な問題なんです。
2. 成年後見制度の使いにくさ
従来の成年後見制度は、家庭裁判所が関与するので手続きが重い。月額数万円の報酬も発生するし、「孫の教育費のために不動産を売りたい」みたいな柔軟な対応が難しい。
3. 相続対策の多様化
単純に「相続税を減らしたい」だけじゃなくて、「事業承継をスムーズにしたい」「障害のある子どもの将来が心配」みたいなニーズが増えてる。
民事信託の具体的なメリット
柔軟性がハンパない
例えば、横浜の実家を信託して「お母さんが元気なうちは家賃収入はお母さんに、亡くなったら長男に、長男が亡くなったら孫に」みたいな設定ができる。遺言だとここまで細かく指定できません。
認知症対策として最強
お父さんが元気なうちに息子に不動産管理を託しておけば、認知症になっても息子が代わりに売却や賃貸管理ができる。成年後見制度と違って、家庭裁判所の許可も不要です。
税制上のメリットも
信託設定時点では贈与税はかからないし、うまく設計すれば相続税の節税効果も期待できる。ただし、ここは専門家に相談必須です。
実際の活用事例(横浜Ver.)
ケース1:港北ニュータウンの不動産オーナー
築30年のマンション3棟を持つ70代のBさん。息子に管理を託したいけど、贈与税が心配でした。民事信託を使って息子を受託者に、家賃収入はBさんが受け取る設定に。息子は管理に専念でき、Bさんも安心。
ケース2:中華街の老舗レストラン
3代続く中華料理店の事業承継。お店の不動産と営業権を信託して、段階的に息子に経営を移行。お父さんは引退後も一定の収入を確保できました。
ケース3:障害のある子を持つ家庭
みなとみらいのマンションを信託して、障害のある次男の生活費を長期間確保。長男が受託者として弟の生活をサポートする仕組みを構築しました。
注意点とデメリット
もちろん、民事信託にもデメリットはあります。
専門知識が必要
設計が複雑なので、司法書士や税理士などの専門家への相談は必須。費用も30万円〜100万円程度かかることが多いです。
取消しが困難
一度設定すると、原則として委託者の一方的な意思では取消しできません。慎重な検討が必要です。
税務上の注意点
信託の設計によっては思わぬ税金がかかる場合も。特に法人を絡めた信託は要注意です。
横浜で民事信託を検討するなら
横浜市内でも民事信託に詳しい専門家は増えてきています。特に以下の点を重視して選ぶといいでしょう:
- 信託法に詳しい司法書士または弁護士
- 税務面をカバーできる税理士との連携
- 不動産実務に精通している
- 実際の信託組成経験が豊富
まとめ:家族の未来を守る新しい選択肢
民事信託は「家族の絆を法的に形にする」仕組みだと思います。横浜みたいに不動産価値が高いエリアだからこそ、しっかりとした財産管理の仕組みを作っておくことが大切。
ただし、万能ではないので、成年後見制度や遺言など他の制度との使い分けも重要です。何より、家族みんなが納得して進めることが一番大切ですね。
赤レンガ倉庫のカフェで始まった会話から、こんなに深い話になるとは思いませんでした。でも、こういう「生活に身近な法律の話」って、実はすごく面白いし大切だなと改めて思いました。
皆さんも、家族の将来について話し合う時に、民事信託という選択肢があることを覚えておいてもらえれば嬉しいです。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、具体的な法的アドバイスではありません。実際の信託設定については、必ず専門家にご相談ください。