NST新潟テレビの11億円所得隠し事件から学ぶ「架空経費がバレやすい理由」

今日は税理士の岩本隆一です。
今日、ちょっと興味深いニュースを見つけたんですよね。NST新潟総合テレビが架空のCM制作費で所得隠しを指摘されたという話です。フジテレビ系列の地方局ということで、結構大きなニュースになってますね。
架空経費って、実はバレやすいんです
これ、税務の世界では「あるある」な話なんですが、架空経費って税務署は大体どんな風に作られるかわかってるんですよ。特に今回のケースみたいに、社員の親族の会社だったりとか、そう、特殊な関係のあるような会社との取引に関しては、税務署も注意深く見るのでバレやすいんですね。
身内同士の取引って、どうしても不自然な部分が出てくるじゃないですか。金額が相場とかけ離れていたり、実態がない取引だったり。税務調査官も経験豊富なので、そういうパターンはすぐに気づかれちゃいます。
僕も実務でよく見るんですが、親族会社への外注費とか、異常に高い顧問料とか、そういうのって調査官の目には「怪しい取引」として映るんですよね。特に同族会社だと、利益調整のために親族会社を使うケースが多いので、税務署も慣れてるんです。
あと、CM制作費って金額の妥当性を判断するのが難しい分野でもあるんですよ。クリエイティブな業界だと「この動画の制作に1000万円かかりました」って言われても、外部からは適正価格なのか判断しにくいじゃないですか。だからこそ、こういう分野を狙って架空経費を作る会社もあるんですが、逆に税務署も警戒してるというか。
今回のケースの規模感
にしても、6年間で11億円の所得隠しはかなりでかいなと思います。重加算税を含めて法人税で4億円ということで、まあ地方税も含めると5、6億行くのかな行くのかな。
11億円って、地方のテレビ局からすると相当な金額ですよね。年間で約1億8000万円くらいの所得隠しということになるので、これは組織的にやってたんじゃないかって疑われても仕方ないレベルです。
会社側は「還流した実態はない」と主張してるけど、それこそもっと大きな事件になったでしょうね。
重加算税が課されてるということは、税務署としては「単純なミスや解釈の違いじゃなくて、意図的に隠してた」と判断したということですからね。重加算税って、そう簡単には課されないんですよ。相当な確証がないと。
税務調査の現実
税務調査って本当に怖いです。特に架空経費は、一度疑われると芋づる式にいろんなことが明るみに出ちゃいますからね。
今回のケースも、おそらく最初は別の論点から調査が始まって、そこから親族会社との取引に注目が集まったんじゃないかと思います。税務調査官って、本当に細かいところまで見るんですよ。銀行の通帳とか、請求書の流れとか、実際に仕事をした証拠があるかとか。
CM制作なんて形のないものだから、「本当にこの金額分の仕事をしたのか」って証明するのが難しいじゃないですか。で、親族会社が絡んでると、なおさら厳しく見られる。
僕がクライアントによく言うのは、「親族との取引は必ず第三者と比べて適正な価格でやってください」ということなんです。ちゃんと契約書も作って、実際の作業内容も記録に残して。そうしないと、後で説明できなくなっちゃうんですよね。
でも今回のケースを見てると、そういうレベルを超えてる感じがします。11億円って金額を考えると、かなり悪質だったんじゃないかなと。
地方のテレビ局って、広告収入も厳しい時代だし、なんとか利益を確保したいって気持ちはわかるんですが、こういうやり方はリスクが高すぎますよね。バレた時のダメージを考えたら、絶対に割に合わない。