横浜のカフェで”簡易インボイス”について考えてみた

どうも、税理士の岩本隆一です。
この前、横浜の赤レンガ倉庫の近くにあるカフェでお茶してたんですが、隣の席で個人事業主らしき人が「簡易インボイスって何?」って電話で相談してるのが聞こえてきたんですよね。
で、「あー、これは結構みんな困ってるやつだな」と思って、今日は簡易インボイスについて書いてみようかなと。
そもそも簡易インボイスって何なの?
まず、簡易インボイスの話をする前に、普通のインボイス(適格請求書)の話をしないといけないんですが、これが結構面倒なんですよね。
普通のインボイスって、めちゃくちゃ項目が多いんです。具体的には:
- 発行者の氏名又は名称及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
これ、全部書かないといけないんですよ。で、「これ、コンビニとかスーパーのレシートとかだと現実的じゃないよね」ってことで、簡易インボイスっていう制度ができたわけです。
簡易インボイスの良いところ
簡易インボイスの何が良いかっていうと、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」を書かなくて良いってところなんですよね。
これ、地味に大きいです。
例えば、横浜中華街で肉まんを100個買って会社のイベントで配るとしますよね。普通のインボイスだと、お店の人が「御社名は?」って聞いてきて、それを一個一個のレシートに書かないといけない。でも簡易インボイスなら、そこは省略できる。
要するに、「誰に売ったか」は書かなくて良いけど、「何を」「いくらで」「どの税率で」売ったかはちゃんと書きましょうね、っていう制度です。
でも、誰でも使えるわけじゃない
ここが重要なんですが、簡易インボイスって誰でも発行できるわけじゃないんですよ。
使えるのは、基本的に「不特定多数の人に販売する事業者」だけ。具体的には:
- 小売業(スーパー、コンビニ、百貨店など)
- 飲食店業
- 写真業
- 旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(不特定多数が利用するもの)
横浜で言うと、横浜駅周辺の居酒屋さんとか、みなとみらいの観光バス、中華街のレストラン、赤レンガ倉庫のお土産屋さんなんかは簡易インボイスを発行できますね。
逆に、BtoB中心のコンサル会社とか、特定の企業にだけサービスを提供してる会社は、基本的に普通のインボイスを発行しないといけません。
実際に横浜で見かけた事例
先週、横浜そごうで買い物したときのレシートを見てみたら、ちゃんと簡易インボイスの形式になってました。
- 店舗名と登録番号:ちゃんと書いてある
- 購入日:書いてある
- 商品名:書いてある
- 税率ごとの金額と消費税額:10%と8%で分けて書いてある
- 購入者名:書いてない(簡易インボイスだから)
これが、まさに簡易インボイスの典型例ですね。
気をつけないといけないポイント
簡易インボイスで気をつけないといけないのは、金額に関係なく、ちゃんとした簡易インボイスの形式で発行する必要があるってことです。
よく「3万円未満なら帳簿だけでOK」って話を聞くんですが、これは公共交通機関の運賃など、特定の取引だけの話なんですよね。一般的な商取引では、金額に関係なく適格請求書(普通のインボイスか簡易インボイス)が必要です。
だから、横浜のホテルで会社の懇親会やったときとか、中華街で大人数の宴会やったときとかでも、お店が簡易インボイスを発行できる業種なら簡易インボイスでOKですし、そうじゃなければ普通のインボイスが必要になります。
システム対応の現実
横浜の商店街を歩いてると、まだまだ手書きのレシートのお店も多いんですよね。
こういうお店が簡易インボイスに対応するのって、結構大変だと思うんです。レジシステムを変えるか、手書きでも必要な項目を全部書かないといけない。
特に、消費税額を税率ごとに分けて書くっていうのが、慣れてないと間違えやすそう。
でも、これをちゃんとやらないと、お客さんが仕入税額控除を受けられなくなっちゃうので、BtoB の取引がある店舗は対応必須ですね。
今後どうなるか
個人的には、簡易インボイス制度って過渡期の制度だと思ってるんですよね。
将来的には、全部電子インボイスになって、もっとシンプルになるんじゃないかなと。実際、欧州とかではそういう方向に進んでるし。
横浜市も「横浜DX戦略」とかやってるので、市内の事業者向けに電子インボイスの導入支援とかやったら面白そうですよね。みなとみらいのIT企業と商店街をつなぐような取り組みとか。
まとめ
簡易インボイス制度、最初は「また面倒な制度ができたな」って思ったんですが、よく考えてみると、小売業とか飲食業の現場の負担を減らすための配慮なんですよね。
完璧な制度ではないけど、現実的な落としどころとしては悪くないかなと。
横浜みたいに観光業も製造業もサービス業もある街だと、業種によって対応方法が全然違うので、商工会議所とかがもっと業種別の説明会やったりすると良いんじゃないかなと思います。
あ、そうそう、最初に書いたカフェの隣の席の人、結局顧問税理士らしき方に「とりあえず普通のインボイスで対応しましょう」って言われてました。まあ、それが一番安全ですからね。
という感じで、簡易インボイスについてでした。皆さんの事業にも関係あると思うので、一度確認してみてくださいね。
それでは!